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2022年度助成プロジェクト
「鳥類保護団体への活動助成」部門(13件、2,120万円)
団体名 対象活動 助成額
(公財)
日本鳥類保護連盟
奄美大島に生息する希少鳥類の調査・保護活動 200万円
Royal Society for
Protection of Nature
(ブータン王立自然保護協会)
絶滅危惧鳥シロハラサギの生息域外保全策の確立 200万円
(一社)
Islands care
オガサワラカワラヒワの絶滅回避のための保全プロジェクト 200万円
コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル
(IPPM-OWS)
東アジア地域におけるコウノトリ保全ネットワーク形成事業 200万円
NPO法人
三浦半島生物多様性保全
おもてなし復田でサシバを呼ぼう!三浦半島におけるサシバの繁殖再開を目的とした谷戸田保全活動(通称:サシバプロジェクト) 200万円
日本雁を保護する会 東アジアのハクガン復元の取り組み、その成果と周知のために 200万円
(公財)
富山市ファミリーパーク公社
ヨウムの野生復帰を想定した繁殖技術の確立 190万円
(公社)
日本動物園水族館協会
ライチョウの野生復帰させうる個体の創出に向けた技術開発 180万円
Isla Biodiversity
Conservation, Inc.
(島嶼生物多様性保全協会)
カラヤンクイナの保護のための市民科学と教育 160万円
Philippine Eagle
Foundation
(フィリピンワシ保護財団)
フィリピンミンダナオ島におけるフィリピンワシの感電防止対策と生物多様性に富む原生林の保全再生 150万円
(公財)
山階鳥類研究所
絶滅に瀕する小型鳥類における保全のための遺伝解析 100万円
水鳥研究会 コアジサシの水上営巣地の造成と越冬地の解明 100万円
認定NPO法人
西中国山地自然史研究会
八幡高原の渡り鳥の調査と保全および啓発活動 40万円
(公財)日本鳥類保護連盟
奄美大島に生息する希少鳥類の調査・保護活動
オーストンオオアカゲラの追跡調査
オーストンオオアカゲラの追跡調査

当団体は鳥類を始めとした野生生物の自然保護及び普及啓発活動を行っています。本活動では奄美大島の希少鳥類であるアマミヤマシギとオーストンオオアカゲラの保全のための調査を奄美野鳥の会と協同で実施します。アマミヤマシギは沖縄本島等でGPSを装着し季節移動に関する調査、オーストンオオアカゲラは個体数調査とGPSによる行動圏調査を行い、個体数の推測を行います。

■活動地:鹿児島県、奄美大島、沖縄本島
■助成額:200万円

Royal Society for Protection of Nature(ブータン王立自然保護協会)
絶滅危惧鳥シロハラサギの生息域外保全策の確立
シロハラサギ保護に関する住民への講義の様子
シロハラサギ保護に関する住民への講義の様子

シロハラサギはヒマラヤの淡水河川生態系に生息する絶滅危惧鳥類です。ブータン国内の生存個体はわずか23羽であり、その存続は極めて危機的な状況にあります。私たちブータン王立自然保護協会はシロハラサギの生息域外保全の拠点施設を整備し、安定的な飼育繁殖を実現することで、放鳥による野生下のシロハラサギの個体群を補強することを目指します。

■活動地:ブータン王国、チャンチー
■助成額:200万円

(一社) Islands care
オガサワラカワラヒワの絶滅回避のための保全プロジェクト
自動撮影カメラによる個体数のモニタリング調査(母島列島属島)
自動撮影カメラによる個体数のモニタリング調査(母島列島属島)

小笠原諸島固有の鳥オガサワラカワラヒワは、近年激減しており、繁殖個体数が200羽程度と考えられています。本プロジェクトでは、絶滅回避のために最も重要な個体数のモニタリング、繁殖状況及び繁殖成功を左右する食性に関する調査を行います。2022年には日本の固有種となることも期待される貴重な鳥を、なんとか次世代に残したい、という思いで活動をしています。

■活動地:小笠原諸島、母島列島
■助成額:200万円

コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル(IPPM-OWS)
東アジア地域におけるコウノトリ保全ネットワーク形成事業
関東で唯一の繁殖地(栃木県小山市)での雛への足環装着作業
関東で唯一の繁殖地(栃木県小山市)での雛への足環装着作業

IPPM-OWSは、2022年度も引き続き、アジア地域におけるコウノトリ保全ネットワークの形成及びその基盤となる国内メタ個体群の形成を目的として、繁殖地自治体における複数ペア繁殖に向けた環境整備、新規造巣自治体における繁殖成功に向けた体制作り等について支援していきます。また同時に飼育・繁殖・放鳥計画の立案、コウノトリに関する普及啓発なども行っていきます。

■活動地:全国
■助成額:200万円

NPO法人 三浦半島生物多様性保全
おもてなし復田でサシバを呼ぼう!三浦半島におけるサシバの繁殖再開を目的とした谷戸田保全活動(通称:サシバプロジェクト)
半世紀休耕されていた谷戸を復田
半世紀休耕されていた谷戸を復田

神奈川県三浦半島では、谷戸田の減少によりサシバの繁殖利用が停止しています。個体数の回復には現状の繁殖地だけでなく、新たな繁殖地を創出することが重要です。対象地では伝統的な半自然湿地環境である谷戸田の復元を進めており、2021年夏からサシバがたびたび来訪するようになりました。今回復田地における餌資源や採餌環境のポテンシャル向上を目的とした湿地の維持管理活動を行います。

■活動地:神奈川県
■助成額:200万円

日本雁を保護する会
東アジアのハクガン復元の取り組み、その成果と周知のために
発信器を装着したハクガン<br>(2021年12月 提供 山階鳥類研究所)
発信器を装着したハクガン
(2021年12月 提供 山階鳥類研究所)

東アジアのハクガンは、日ロ米共同で継続した復元事業の結果、2,000羽程までに増えました。また古文献調査で、江戸時代の状況も明らかになりました。2021年度に最大の越冬地・大潟村で山階鳥類研究所などと共同し、ハクガンに発信器などの標識を装着して繁殖地解明が可能となり、2022年度はこれらの成果と知見を活かし、繁殖地の解明と普及啓発活動を行います。

■活動地:北海道、東北、関東、北東ロシア
■助成額:200万円

(公財)富山市ファミリーパーク公社
ヨウムの野生復帰を想定した繁殖技術の確立
研究対象のヨウム
研究対象のヨウム

ペットとしての需要が高いヨウムは、原産地アフリカでは密猟などにより絶滅の危機に瀕していますが、日本の動物園では繁殖技術は確立できていません。中部大学はJICA「草の根技術協力事業」で原産地における保全の枠組みの構築支援を行います。そこで、この事業と連携し、ヨウムの出身地域の判別や繁殖ホルモンの解析、群れ飼育による繁殖などの野生復帰を想定した技術開発に取り組みます。

■活動地:富山県
■助成額:190万円

(公社)日本動物園水族館協会
ライチョウの野生復帰させうる個体の創出に向けた技術開発
ニホンライチョウの親子
ニホンライチョウの親子

2021年に引き続き、飼育下で育ったライチョウが自然界で生きていけるための繁殖方法の確立を目指します。母鳥に育てられたライチョウで繁殖に取り組み、同居時の個体間関係や育雛行動をより詳しく調べ、適切な飼育方法を検討します。また、高山植物の消化に必要な腸内細菌を持った母鳥から雛に細菌の伝播させる方法、また、維持するための餌についても研究していきます。

■活動地:関東地方、中部地方
■助成額:180万円

Isla Biodiversity Conservation, Inc.(島嶼生物多様性保全協会)
カラヤンクイナの保護のための市民科学と教育
カラヤンクイナ調査チーム(フィリピン)
カラヤンクイナ調査チーム(フィリピン)

Isla Biodiversity Conservationは、フィリピンの小さな島々の保護に取り組んでいるNPOです。カラヤンクイナが発見された直後の2005年3月にその発見メンバーによって設立されました。島固有で絶滅危惧種のカラヤンクイナの調査と保全活動を通じて、小島嶼コミュニティの自然環境学習を支援し、在来種と生息地の保護、持続可能な生活の推進を目的とします。

■活動地:フィリピン、カラヤン島
■助成額:160万円

Philippine Eagle Foundation(フィリピンワシ保護財団)
フィリピンミンダナオ島におけるフィリピンワシの感電防止対策と生物多様性に富む原生林の保全再生
感電死したフィリピンワシの幼鳥
感電死したフィリピンワシの幼鳥

フィリピンワシはフィリピンの国鳥ですが、世界で最も絶滅の危機にある猛禽でもあります。ミンダナオ島のArakan自治区は重要な繁殖場所ですが、国立保護区に指定されておらず、巣立ち雛が感電や密猟により死亡しています。緊急保護対策として、感電防止対策を講じるとともに、地元住民からなる森林パトロール隊を結成し、密猟と違法な森林伐採の防止を進めます。

■活動地:フィリピン南部のミンダナオ島
■助成額:150万円

(公財)山階鳥類研究所
絶滅に瀕する小型鳥類における保全のための遺伝解析
絶滅危惧種オガサワラカワラヒワ
絶滅危惧種オガサワラカワラヒワ

山階鳥類研究所は、鳥類の調査・研究、保全を行う民間の公益団体です。本活動は、絶滅に瀕する鳥類(オガサワラカワラヒワ、イイジマムシクイ、アカコッコ、オオムシクイ、沖縄本島のオシドリ等)の種内の遺伝的構造を解析することにより、今後の保全活動に役立てる基礎データを収集することを目的として行います。上記計画の一部は2020年度から継続して行われています。

■活動地:北海道、東京都、沖縄本島など
■助成額:100万円

水鳥研究会
コアジサシの水上営巣地の造成と越冬地の解明
ジオロケーターをつけたコアジサシと卵(沖縄県泡瀬人工島)
ジオロケーターをつけたコアジサシと卵
(沖縄県泡瀬人工島)

水上営巣地の造成:2021年関東地方のコアジサシの繁殖状況はどこも壊滅的でした。唯一結果の良かった流山市の造成地も、既に建物が建てられ繁殖に利用できない環境のため、同地区に造成中の調整池にフロートを浮かべ、コアジサシの営巣の誘致を目指します。越冬地等の解明:渡り鳥であるコアジサシの保護に必要な中継地や越冬地の解明のため、ジオロケーターを使った調査を行います。

■活動地:東京、千葉、茨城、沖縄
■助成額:100万円

認定NPO法人 西中国山地自然史研究会
八幡高原の渡り鳥の調査と保全および啓発活動
家族みんなで巣箱作り
家族みんなで巣箱作り

これまでのブッポウソウの巣箱内撮影や調査のノウハウを活かし、2022年度は地域のシンボル的な渡り鳥であるアカショウビンの調査を追加しました。また渡り鳥の調査や野鳥観察会を通じて、自然環境や生物多様性について広く知ってもらい、地域課題や、環境問題に対する実践的な行動につなげる問いかけを意識しながら、実施していきます。

■活動地:広島県、八幡高原エリア
■助成額:40万円